鑑定練習会で講師をしていると、
多くの人が同じ壁にぶつかる様子を目にします。
新年を迎えて、
新たな気持ちで占い師デビューを
目指している人もいるでしょう。
だからこそ、
もう一度、原点を意識してほしいと思い、
今日はこの話を書きます。
占いの練習を始めた頃、
多くの人が同じ壁にぶつかります。
目の前に相談者がいるのに、
会話がうまく成り立たない。
何を聞いても、
どこかちぐはぐになってしまう。
その理由は、シンプルです。
「占わなければ」
この焦りに、
意識が引っ張られすぎているのです。
医者のたとえ
想像してみてください。
あなたが体調を崩して、
病院に行ったとします。
診察室に入ると、
医者は聴診器を手に取り、
すぐにあなたの胸に当てようとします。
「ちょっと待ってください、
まず症状を説明したいんですが…」
「いえ、話は後で結構です。
まずは診断しないといけないので」
医者はそう言って、
聴診器を当て続けます。
あなたは不安になります。
本当は、
いつから痛むのか、
どんな時に症状が出るのか、
伝えたいことがあるのに。
でも医者は、
診断することに必死で、
あなたの話を聞こうとしません。
こんな医者に
診てもらいたいでしょうか。
占いの練習を始めたばかりの人は、
無意識のうちに、
これと同じことをしてしまいます。
「占わなければ」という焦りが先に立ち、
目の前の人が何を話そうとしているのか、
見えなくなってしまうのです。
占術は、手段です
易でも、タロットでも、
西洋占星術でも、四柱推命でも。
どんな占術であっても、
それは手段です。
目的は、
答えをだすことではありません。
相手の状況を整理し、
いま何が起きているのかを
一緒にみていくこと。
だから占術は、
使うべきところで使えばいい。
でも多くの人は、
占術を学び始めた瞬間、
「使わなければ」と思ってしまいます。
ハンマーを持つと、
すべてが釘に見えてしまう、
という言葉があります。
占術も同じです。
「占わなければ」という気持ちが強くなるほど、
本当に大切なことが
見えにくくなっていきます。
基本は、対話です
占いの基本は、対話です。
相手が何を知りたいと思って、
今、目の前に座っているのか。
それを聞き取ることに、
まず集中する。
「仕事のことで悩んでいるんです」
その一言の奥に、
どんな状況があるのか。
転職を考えているのか、
人間関係に疲れているのか、
やりがいを見失っているのか。
まずは、それを聞く。
占術は、その後です。
聞き取った内容を整理し、
「では、こういう視点で見てみましょう」
と占術を使う。
その順番が逆になってしまうと、
いくら占術の知識があっても、
相手の心には届きません。
観測することから、始まる
前回、冬至の話をしました。
人は、太陽を観測し続けることで、
変化の向きが切り替わったことを
確認してきました。
一度や二度ではなく、
何度も何度も、見続けた。
占いも、これと同じです。
易でも、この「観る」ことを
とても大切にします。
易経には「観」という卦があり、
そこには「観る」ことの深さが
示されています。
ただ見るのではなく、
見続けること。
それが、理解への道です。
最初から答えを出そうとしない。
まずは、見る。
聞く。
相手が何を話しているのか、
どんな表情をしているのか、
どこに重心を置いて
言葉を選んでいるのか。
それを観測するのです。
「占わなければ」と焦っているとき、
私たちは観測をやめています。
早く結論を出そうとして、
目の前の変化を
見逃してしまっているのです。
占術を学び始めたあなたが
もし今、混乱しているなら。
まずは、
「占わなければ」という焦りを
一度、脇に置いてみてください。
目の前の人の話を、
ただ聞いてみる。
それだけでいい。
占いは、そこから始まります。

