西洋占星術はギリシアで誕生し、
四柱推命や紫微斗数は中国で生まれました。
ギリシアと中国はかなりの距離を隔てています。
実際の星の動きを使って細かく分析する西洋占星術と違い、
中国占術で使うのは『虚星(きょせい)』
つまり実際には存在しない星です。
西洋占星術がまず足を踏み入れた国はインドでした。
ヒンドゥ教やカレーなど、わりとアナログなイメージの国ですが、じつはインド人は極めてすぐれた理系の能力を持っているのです。古代インダス文明からは、下水の排水設備や川の氾濫を利用した農耕など、知性あふれる生活技術の足跡をみることができます。
また【0(ゼロ)】の概念、円周率(3・14)、
二次方程式の確立など…
これら数学的発見はすべてインド人によるもの。
理論的かつ緻密な計算が得意で、現代ではインド式計算法やIT先進国として有名ですね。
そしてきわめて正確な天体観測技術。
ギリシアで完成した西洋占星術がインド人の手によって、
より緻密な『ヒンドゥ占星術』として生まれ変わったのが2500年前で、
ちょうどお釈迦さまが仏教を開かれた時代ですね。
正確な星の位置を把握するため、国立の天文台を設けるほど熱心だったインド人は、
徹底的に精密さにこだわった結果、前世のカルマまで探ろうとしました。
もちろん、インド特有の生まれ変わり思想『輪廻転生』の影響です。
そのヒンドゥ占星術(インド占星術)が中国に渡って『七政四余(しちせい・しよ)』となりました。
「七政」とは太陽・月をはじめ、水星・金星・火星・木星・土星の7つの惑星。
「四余」とは
紫気(しき)、月孛(げつはい)、
羅喉(らごう)、計都(けいと)
という4つの要素。
そんな七政四余は、あまりにも複雑すぎました。
結果を割り出すのに多くの手順があって、さらに解釈も難解。
ほとんど普及せず、文献もわずか。
創ってはみたものの、使えない占術でした。
そこで当時の占術研究家たちは余分な要素をそぎ落とし、
その結果シンプルかつ解釈も簡単、明快なビジュアルを持った占いを生み出したのです。
太陽暦の干支による計算で四柱推命、
太陽太陰暦の計算で紫微斗数を生み出しました。
たとえば四柱や紫微には10年運をみる鑑定法があります。
インド占星術で「ダシャー」と呼ばれるものが、大限(大運)になったのです。
しかし四柱推命と紫微斗数の10年運はそれぞれ計算方法が違うし、
切り替わる年が異なります。
四柱推命は太陽で、紫微斗数は月ですから、
計算方法が違います。
太陽と月をわけて、それぞれの得意分野に特化させたことで、使える占いにしたわけです。